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慰問演奏は迷惑なのか?喜ばれる依頼にするための10の配慮事項

ensona編集部
慰問演奏は迷惑なのか?喜ばれる依頼にするための10の配慮事項

「慰問演奏は迷惑だと聞いた」「自分の演奏が押し付けにならないか不安」「やる気はあるけれど、施設に嫌がられるのは避けたい」「過去にトラブルがあって、施設側として受け入れを続けるか迷っている」——慰問演奏について検索する方の立場はさまざまです。

この記事は、演奏する側(アマチュアサークル・音楽家・学生)と、受け入れる側(施設職員・部長・運営者)の双方を読者として想定しています。なお、アマチュアサークルや趣味の演奏家による無償の慰問演奏は、本記事の後半で触れる「業界相場」の議論の対象外です。安心して読み進めてください。

結論からお伝えすると、準備の仕方次第で慰問演奏は喜ばれます。「迷惑な慰問」と「喜ばれる慰問」は別物で、その違いを生むのは音量・時間・選曲・態度・タイミングの5つの整え方です。

「慰問演奏 迷惑」と検索される背景、迷惑と感じる5つの主体、起きやすい10の苦情類型、自己満足に陥らないための整え方、施設側のお断りの考え方までを整理しました。慰問演奏全般の段取り・費用相場については別記事で扱っています。

ensona編集部が、施設職員・慰問演奏経験のあるピアニスト・自治体ボランティア窓口担当者への聞き取りをもとにまとめています。

この記事の要点

  • 「慰問演奏は迷惑」と検索される背景には、音量・時間・選曲・態度・タイミングの5つで過去にトラブルになった事例があります。「迷惑な慰問」と「喜ばれる慰問」は別物として分けて考えてみてください。
  • 「迷惑」と感じる主体は5つに分かれます。施設職員・利用者・ご家族・近隣住民・同業の演奏家。それぞれの視点を知ると、見落としがちな配慮ポイントが見えてきます。
  • 起きやすい苦情は10類型に整理できます(音量・時間・選曲のズレ・自己満足・押し付け・タイミング・職員業務への支障・態度・無断撮影・同業への影響)。
  • 喜ばれる慰問演奏には5つの整え方があります。事前打ち合わせ・選曲の調整・時間管理・音量への配慮・しゃべりすぎないこと。
  • 「無料でやらせていただきます」と申し出る姿勢そのものに問題はありませんが、施設側の事務負担や業界全体への影響を考えると、料金を含めた条件相談ができる仕組みを使う選択肢もあります。
恵良 響

この記事の監修者

恵良 響えら ひびき

4歳からピアノを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業後、渡仏。パリ地方音楽院を経て、現在パリ国立高等音楽院(Conservatoire national supérieur de musique et de danse de Paris)第一課程在籍中。

なぜ「慰問演奏 迷惑」と検索されるのか

慰問演奏は本来、利用者・患者・施設職員に喜んでもらうための善意の活動です。にもかかわらず「慰問演奏 迷惑」という言葉で検索されるのは、過去に演奏者・依頼者が思い至らない形で、受け入れ側に負担や不快感を与えてしまった事例があるためです。

検索する方の多くは、「これからボランティア演奏をしてみたいが、自分が迷惑にならないか心配」「身内に慰問演奏を勧めたいが、本当に喜ばれるのか確認したい」「自分が施設関係者として、ボランティア受け入れの判断に悩んでいる」といった誠実な不安を抱えています。

この不安は、慰問演奏の進め方を見直すきっかけにできます。誰にとっての迷惑かを分けて整理することで、対処のヒントが見えてきます。

慰問演奏全般の定義・段取り・費用相場については別記事で解説しています。

「迷惑」と感じる5つの主体

慰問演奏で「迷惑」と感じる5つの主体

誰にとっての迷惑かを分けて整理すると、配慮すべきポイントが具体化します

施設職員

業務調整・対応の手間・利用者の体調変化

利用者本人

音量・時間・知らない曲の連続・参加強制

ご家族

肖像権・葬儀や闘病期の曲との重なり

近隣住民

屋外大音量・駐車場の混雑

同業の演奏家

無償演奏の常態化による業界相場への影響

5つの視点を踏まえて設計すると、ほとんどの迷惑は防げる

「慰問演奏が迷惑」と一言で言っても、誰にとっての迷惑かで内容が大きく違います。5つの主体に分けて整理すると、配慮すべきポイントが具体的に見えてきます。

主体主に気になる点
施設職員(介護士・看護師)当日の業務調整、ボランティア対応の手間、利用者の体調変化への対応
利用者本人(高齢者・患者)音量、時間の長さ、自分が知らない曲の連続、参加の強制感
ご家族撮影・SNSでの肖像権、亡くなった方の葬儀で流れた曲・闘病期に聴いていた曲との重なり(事前に施設経由で「避けたい曲」を確認)
近隣住民屋外での演奏会・大音量での騒音、駐車場の混雑
同業の演奏家・音楽事業者無償演奏の常態化による業界相場への影響

この5主体のうち、検索でよく挙がるのは施設職員・利用者からの不満です。次に多いのが同業の演奏家からの懸念です。具体的な配慮ポイントは、続けて10類型でさらに掘り下げます。

慰問演奏で起きやすい10の苦情類型

慰問演奏で起きやすい10の苦情類型

5主体それぞれが感じる迷惑を10カテゴリに整理(演奏者の準備で防げる類型)

1

音量

耳をふさぐ方に気付かず大音量、補聴器のハウリング

2

時間

2時間以上の長尺、利用者の集中力を超える

3

選曲のズレ

自分が吹きたい曲、童謡だけ、施設特性無視

4

自己満足

拍手目当て、反応を見ない

5

押し付け

参加強制、歌わせる、拍手要求

6

タイミング

食事直前直後、おやつ時間、夕方の混乱期

7

職員業務支障

受け入れ準備・付き添いで通常業務が滞る

8

態度・しゃべりすぎ

上から目線、子ども扱い、長いトーク

9

無断撮影・SNS

要配慮個人情報の同意なき公開

10

業界への影響

無償演奏の常態化、相場低下の懸念

実際に起きた苦情を10のカテゴリにまとめました。ご自身が企画する慰問演奏が、これらに当てはまっていないかチェックする使い方ができます。

なお、これらは演奏者側の準備で防げる類型です。利用者側のパニックや認知症の方の予測しがたい反応など、準備で完全に防ぎきれない事故は別に存在します。受け入れ判断をする施設側は、この点も踏まえて準備の責任を演奏者だけに負わせないことが大切です。

1. 音量

利用者が耳をふさいでいるのに気づかず、大音量で演奏を続けてしまう例が代表的です。施設のレクリエーションスペースや病棟の談話室は、コンサートホールと違って音を吸収する素材が少ないため、生楽器の音量はコンサートの3〜5割程度に抑えるのが目安です。

補聴器を装用している利用者がいる場合は、特定周波数(高音域)でハウリングや不快感が出ることがあります。事前打ち合わせで「補聴器装用者がいらっしゃいますか」「席はどの位置がよいですか」と施設職員に確認し、座席配置を一緒に決めると安全です。

2. 時間

「せっかく来たのだから」と2時間以上の長尺で演奏してしまう場合があります。利用者の集中力・体力を考えると、30〜45分が一般的な上限です。「もっと聴きたい」と思ってもらえるところで切り上げるのが、次回への期待を残すコツです。

3. 選曲のズレ

自分が吹きたい曲だけを並べる、童謡だけを延々と演奏する、施設の特性を無視した選曲をする、といったズレです。施設側に「最近喜ばれた曲」を事前に聞いておくだけで、ほとんど解消できます。

4. 自己満足・拍手目当て

「自分の演奏を聴いてもらいたい」「拍手喝采を浴びたい」が動機の中心になり、利用者の反応を見ずに演奏を進めてしまう例です。自分が何を求めて訪問するのかを一度立ち止まって考えるのは、慰問演奏の準備として大切な部分です。

5. 押し付け・参加の強制

「全員参加で歌いましょう」「拍手をお願いします」と参加を強く求める場合です。歌いたくない・拍手したくない方もいる前提で進めると安心です。

6. タイミング

食事の直前直後、入浴・服薬の時間、15時前後のおやつ・水分補給の時間、他のレクリエーションが入っている時間帯など、施設のスケジュールと重なる時間帯での演奏は、職員にも利用者にも負担になります。

特に注意が必要なのが、認知症ケアを行う施設での「夕方のサンダウン症候群(夕暮れ症候群)」です。15時〜18時頃にかけて認知症の利用者が混乱・興奮しやすくなる時間帯で、外部からの刺激は避けるのが原則です。慰問演奏は午前中の落ち着いた時間帯か、午後早めのレク枠で組むのが現実的です。

被災直後など、衣食住が安定していない時期の慰問は特に慎重な判断が求められます。

7. 職員業務への支障

ボランティア来訪の準備・誘導・記録・お見送りに、施設職員の業務時間が予想以上にかかります。「ありがたいけれど通常業務が滞ってしまう」という現場の声があります。事前打ち合わせで「職員の付き添いは最低限で済むよう動きを組みます」と伝えると、受け入れやすくなります。

8. 態度・しゃべりすぎ

「かわいそうな方々のために」「皆さん大変な状況ですよね」のような上から目線の語りかけ、自己紹介や曲解説が長すぎるトーク、利用者を子ども扱いする言葉遣いなどが該当します。曲間のトークは1曲につき30秒〜1分程度に抑え、演奏を中心に進めるのがおすすめです。

9. 無断撮影・SNS掲載

利用者の顔・名前・部屋の様子をSNSに掲載してしまうと、特に慎重な扱いが必要な個人情報(要配慮個人情報)として問題になります。撮影・SNS掲載は原則行わない方針で動き、実績として残したい場合は施設に「ボランティア活動証明書」を発行してもらう正式なやり方が安心です。

撮影・公開を希望する場合も、ご家族から直接同意を取るのではなく、必ず施設窓口を通してください。施設側は入所時に「個人情報利用同意書」で外部公開項目の同意範囲を取得しているため、その範囲内かどうかの確認は施設職員が行います。家族の口頭同意だけで撮影・SNS掲載すると、施設の同意フローを飛び越えた扱いになり、後日他のご家族からのクレームにつながることがあります。

10. 同業者・業界への影響

無償演奏が当たり前になると、プロの演奏家へ有償で依頼する習慣が薄れ、業界全体の相場が下がる影響があります。慰問演奏を続ける上で、プロの演奏家への有償依頼の機会も大切にする視点を持っておくと、業界全体ともうまく共存できます。

自分の楽しみと押し付けの違い

演奏する自分自身が楽しむこと自体は、まったく悪いことではありません。むしろ演奏者が楽しんでいる姿勢が、利用者・職員に伝わって場の雰囲気をやわらげるという良い効果もあります。

注意したいのは、自分の楽しみだけが優先されて、相手の反応を見なくなってしまう場合です。代表的な3つの落とし穴を確認しておきましょう。

「やってあげる」姿勢

「かわいそうな方々のために」「励ましてあげたい」という気持ちは自然ですが、これが言葉や態度に出ると押し付けになります。「お邪魔させていただく」「一緒に時間を過ごさせていただく」という対等な姿勢が、結果的に利用者との距離を縮めます。

反応を見ない演奏

事前に組んだ予定通りに演奏を進めてしまい、利用者の表情・態度・退出の動きに気づけない場合です。1曲ごとに会場の空気を確認し、続けるか短くするかを柔軟に判断する余裕を持って臨みたいところです。

定例化の打診は施設側からの相談を待つ

演奏後の挨拶で「ありがとうございました、また機会があればよろしくお願いします」のような社交辞令は問題ありません。注意したいのは「定期的に来させてください」「毎月固定でお願いします」と定例化を一方的に提案してしまう場合です。施設側にとってはレク年間計画・職員配置・予算の調整が必要になるため、定例化の打診は施設側から相談があったときに検討する姿勢の方が受け入れてもらいやすくなります。

喜ばれる慰問演奏の5つの整え方

迷惑にならず、喜ばれる慰問演奏には共通の整え方があります。次の5つを押さえれば、ほとんどのトラブルは防げます。

整え方内容
事前打ち合わせ施設のレクリエーション担当・看護師長と最低1回は対面またはオンラインで打ち合わせ。利用者の状態・喜ばれる曲・避けるべき曲・タイミングを聞く
選曲の調整童謡・昭和歌謡・映画音楽など世代を超えて知られている曲を3〜4種類混ぜる。1曲3〜5分でまとめる
時間管理全体30〜45分、長くて60分を上限。「もっと聴きたい」で切り上げる
音量への配慮コンサートの3〜5割を目安に。耳をふさぐ方がいないか1曲ごとに確認
しゃべりすぎない上から目線・かわいそう扱い・長い解説を避ける。曲間のトークは1曲30秒〜1分に抑える

これらは演奏技術ではなく、当日までの段取りの話です。経験を積めば誰でも身につけられる内容です。

施設側がお断りするときの考え方と文例

施設側でボランティア受け入れの判断をする立場の方は、すべての申し出を受けないといけないわけではありません。利用者の利益にならないと判断したら、丁寧にお断りする方が双方にとって誠実です。

お断りする判断基準

  • 利用者の健康状態・体調にとって負担が大きい
  • 施設のレクリエーション年間計画と合わない時期
  • 職員の人員配置上、当日の対応が難しい
  • 過去に同じ団体・演奏者でトラブルがあった
  • 申し込み内容に違和感がある(宗教勧誘・物販・撮影前提など)
  • 感染症対策(マスク着用・抗原検査・体調確認)への協力ができない
  • 当日の体調管理・賠償責任保険加入の確認に応じない

受け入れ全面停止・縮小が合理的な場合

過去のトラブル対応コストが高く、職員の負担が利用者ケアの質に影響しているなら、受け入れ自体を一定期間停止する判断は合理的です。停止を検討すべき目安:

  • 直近1年で同種のトラブル(クレーム・利用者の体調悪化・進行支障)が複数回発生している
  • 受け入れ対応に投じる職員時間が、利用者ケアに支障を与えるレベル
  • 施設として個人情報保護・感染管理の運用が固まっておらず、外部受け入れの安全性を担保しきれない

全面停止からの再開を検討するときのチェック項目

再開する場合は次の項目を職員間・運営層で合意してから動き出すと安全です。

  • 受け入れ申込書の様式(曲目・所要時間・人数・機材・音量・撮影意向・感染症対策同意・賠償責任保険加入有無)
  • 過去にトラブルのあった団体・個人を遮断するフィルタリングの仕組み
  • 自治体ボランティアセンター経由の申込に絞るかどうか
  • トライアル運用の期間(3か月〜半年)と見直しの指標
  • 利用者・家族への事前周知の手順

お断りの文例(一般的な見送り)

「お申し込みいただきありがとうございます。当施設では年間のレクリエーション計画と職員配置を踏まえて受け入れの判断をさせていただいておりまして、誠に恐れ入りますが、◯月のお申し出につきましては今回は見送らせていただきます。次年度以降に改めてご検討いただけますと幸いです」

具体的な理由を詳しく説明する必要はありません。「年間計画の都合」「職員配置の都合」で十分な場合がほとんどです。

お断りの文例(再申込を遮断したい場合)

過去のトラブルなどで、特定の団体・演奏者の再申込を確実に止めたい場合は、別の文例を使います。

「ご連絡をいただきありがとうございます。誠に恐れ入りますが、当施設の運営方針として、現在は外部からの演奏ボランティアの受け入れを行っておりません。今後の方針変更につきましても未定でございますので、ご相談先としては自治体のボランティアセンターをご案内させていただきます」

「次年度以降」を含めない、具体的な理由は述べない、自治体ボランティアセンターへ案内する、の3点を意識すると、再申込のループを避けられます。トラブル傾向のある申込者については、自治体ボランティアセンターと情報共有して、地域全体の受け入れ施設を守る運用も検討してください。

施設側のお断りは、申し込み側を否定するものではなく、純粋にスケジュール調整の結果であることが多くあります。お断りされた側も、深く受け止めすぎずに別の施設・別の時期に再度ご相談ください。

個人で慰問演奏を進めるのが不安な方、施設側の事情と演奏者側の準備の両方を踏まえてお互いに納得できる依頼にしたい方へ。は慰問演奏や施設訪問の経験があるピアニストを直接探せる場として運営しています。施設対応の経験で絞り込んで、本人と直接相談できます。

登録・利用はすべて無料です。

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「慰問」という言葉そのものへの意見

介護・福祉の現場では、「慰問」という言葉そのものへの違和感が以前から議論されています。「慰問」は「慰める」「お見舞いする」という意味で、上から目線の語感を含むため、施設側の方が「対等な訪問演奏」として位置づけたい場合に違和感があるという意見です。

代わりの表現として「訪問演奏」「ふれあいコンサート」などが使われることがあります。検索で使われる言葉として「慰問演奏」は定着しているため、本記事でもこの表現を使っていますが、現場で施設の方とお話しするときは「訪問演奏」「ふれあいコンサート」という言葉を併用すると、より対等な関係性を意識した会話ができます。

プロ演奏家の業界への配慮

慰問演奏を続ける上で、プロの演奏家への有償依頼の文化との両立も意識しておきたいポイントです。

無償ボランティア演奏が広がりすぎると、プロ演奏家に有償で依頼する施設が減り、業界全体の相場が下がる懸念があると指摘されています。長期的には演奏家の生活が苦しくなり、結果的に音楽活動全体がやせ細っていくのではないか、という議論です。

ここで対象となるのは、職業として演奏で生計を立てているプロ・セミプロの方々です。アマチュアサークル・趣味で演奏される方の慰問は、地域交流の文脈で行われており、業界相場の議論の対象には含まれません。アマチュア・趣味の演奏家は、安心してご自身のペースで活動を続けてください。

すべての慰問演奏が無償である必要はなく、施設の予算・条件によっては有償でプロに依頼する形が双方にとって自然な選択になります。「無料が当たり前」ではなく「正当な料金で依頼する文化」を残しておくのが、結果的に音楽の世界全体を支えることにつながります。

ensonaは、ピアニスト本人が提示する料金がそのまま依頼者の支払額の中心となる仕組みで運営しています。仲介手数料を取らないため、ピアニストの希望料金が下がりにくく、無償ボランティアと有償依頼を施設の選択肢として並べて持てる形を目指しています。

演奏する側のあなたへの出口

ここまでの記事を演奏する側の立場で読まれた方に向けて、次の一歩の選択肢を整理します。

立場おすすめのルート
アマチュアサークル・趣味の演奏家自治体のボランティアセンター・社会福祉協議会経由で受け入れ施設を紹介してもらう
音大生・若手演奏家(経験を積みたい)大学のキャリア支援室・社会連携室、地域の慰問演奏NPO(NPOパフォーマンスバンク・OnPalなど)への登録
プロ・セミプロの演奏家ensonaのようなピアニストと依頼者をつなぐサービスへ登録、有償依頼と無償ボランティアを使い分ける
既にトラブル経験があり再開を迷う方慰問先施設の選び方を見直す。事前打ち合わせを必ず1回以上設定する

無償でも有償でも、「事前打ち合わせ・選曲調整・時間管理・音量配慮・しゃべりすぎない」の5原則は共通です。アマチュアの方は業界相場の議論を気にしすぎず、自治体経由の正規ルートで活動を続けてください。

施設の受け入れ事前確認シート

施設側でボランティア受け入れの可否を判断するときは、以下の項目を申込側に書面で提出してもらうと、当日のトラブルを大きく減らせます。

カテゴリ確認項目
基本情報団体名・代表者・連絡先・活動歴
演奏内容曲目・所要時間・人数・編成・機材(電子ピアノ・PAの有無)
音量配慮想定音量・補聴器装用者がいる場合の対応
撮影撮影意向の有無・SNS掲載の希望・施設の同意フローへの同意
感染症対策マスク着用・抗原検査・体調自己申告書への協力可否
賠償責任個人賠償責任保険の加入有無
過去実績他施設での慰問演奏歴・トラブル発生の有無
当日対応職員付き添いの最小化、進行への協力可否

このチェック項目を申込書として整備しておくと、申込者・施設側の双方が事前に齟齬を解消できます。

演奏者と依頼者を直接つなぐ選択肢

ensonaは、ピアニストと依頼者をつなぐ場として運営しているサービスです。登録ピアニストの自己紹介・演奏動画・対応場面(介護施設・病院・結婚式・企業など)・希望料金が公開されています。

慰問演奏や施設訪問の経験が豊富なピアニストを条件で絞り込み、直接メッセージを送れる仕組みです。仲介手数料は取らず、ピアニスト本人が提示する料金がそのまま依頼者の支払額の中心になります。

依頼者・ピアニストの双方から利用料は取らず、運営は広告収益で支える方針です。

項目ensonaでの扱い
利用料金(依頼者)無料
仲介手数料取らない
演奏者の探し方自己紹介・演奏動画・対応場面・希望料金で絞り込み
慰問演奏経験での絞り込み「慰問演奏」「施設訪問」経験ありで絞り込み可能
料金条件の相談無償・有償・実費のみなど、ピアニスト本人と直接相談
サービスの状態立ち上げ間もないため、登録ピアニスト数・対応エリアは時期によって変わります
運営の収益依頼者・ピアニストの双方から利用料は取らず、広告収益で運営を支える方針

「個人でゼロから慰問先を探すのは不安」「施設対応の経験があるピアニストに頼みたい」「無償ではなく適正な料金で依頼したい」と感じたら、選択肢の一つとして検討してみてください。

対象エリアに登録ピアニストがいない場合は、自治体のボランティアセンター・地域の音楽事務所・専門の非営利団体など、別の窓口を併用していただくと安心です。

まとめ

「慰問演奏は迷惑」と検索される背景には、音量・時間・選曲・態度・タイミングの5つで過去にトラブルになった事例があります。一方で、準備の仕方次第で慰問演奏は喜ばれます。「迷惑な慰問」と「喜ばれる慰問」は別物として分けて考えてみてください。

「迷惑」と感じる主体は5つに分かれます。施設職員・利用者・ご家族・近隣住民・同業の演奏家。それぞれの視点を知ると、見落としがちな配慮ポイントが見えてきます。起きやすい苦情は10類型に整理できます。音量・時間・選曲のズレ・自己満足・押し付け・タイミング・職員業務への支障・態度・無断撮影・同業への影響です。

喜ばれる慰問演奏は、事前打ち合わせ・選曲の調整・時間管理・音量への配慮・しゃべりすぎないことの5つに集約できます。これらは演奏技術ではなく当日までの段取りの話で、経験を積めば誰でも身につけられます。

施設側でボランティア受け入れの判断をする立場の方は、すべての申し出を受けないといけないわけではありません。「年間計画の都合」「職員配置の都合」で丁寧にお断りする選択肢があります。お断りされた側も深く受け止めすぎず、別の施設・別の時期に再度ご相談ください。

無償ボランティアと有償の依頼を、施設の予算と条件に応じて並べて選べる状態が、結果的に音楽の世界全体と慰問演奏の質を支えます。施設対応の経験があるピアニストを直接探したい方は、ensonaのようなサービスを選択肢の一つとして検討してみてください。

不安なく、お互いに納得できる慰問演奏を成立させたい方へ。なら施設訪問の経験があるピアニストを条件で絞り込んで、料金条件も直接相談できます。

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よくある質問

Q.

慰問演奏は本当に迷惑なのですか?

A.

準備の仕方次第で大きく変わります。「迷惑」と検索される背景には、過去に音量・時間・選曲・態度のいずれかでトラブルになった事例があるためです。一方で、施設側と事前に打ち合わせをし、利用者の状態に合わせて演奏内容を調整した慰問演奏は、施設職員からも利用者からも喜ばれています。「迷惑な慰問」と「喜ばれる慰問」は別物として分けて考えるのが現実的です。

Q.

「無料でやらせていただきます」と申し出るのは何が問題なのですか?

A.

誠意の表現としては自然ですが、施設側にとっては受け入れの事務負担(打ち合わせ・職員配置・スケジュール調整)が発生するため、無料であっても全くの「無コスト」ではありません。また、業界全体で見ると、無償演奏が増えるとプロの演奏家への有償依頼相場が下がる影響もあります。「無料」を売りにするのではなく、「準備をしっかり整えて喜んでもらえる演奏をする」姿勢が、施設・利用者・同業者すべてに歓迎されます。

Q.

童謡や唱歌ばかり選ぶのはよくないのですか?

A.

童謡・唱歌が悪いわけではなく、「童謡しか選ばない」「自分が吹きたい曲だけを並べる」のが問題視されます。利用者の年齢層・好み・体調に合わせ、童謡+昭和歌謡+映画音楽の3〜4種類で組み立てると、世代を問わず楽しんでもらえます。事前打ち合わせで施設側に「最近喜ばれた曲は何でしょうか」と聞くだけで、選曲の方向性が一気に絞れます。

Q.

演奏の様子を撮影してSNSに上げてもいいですか?

A.

原則として施設の許可と利用者本人の同意(認知症の方は後見人や家族の代わりの同意)がない限り、撮影・SNS投稿は行わないでください。利用者の顔・名前・治療内容は、特に慎重な扱いが必要な個人情報(要配慮個人情報)にあたります。実績として残したい場合は、施設に「ボランティア活動証明書」「感謝状」を発行してもらう、施設の広報誌に外部協力者として記載してもらうなどの正式なやり方を使うと安心です。

Q.

演奏中、利用者が席を立って退室したら気にすべきですか?

A.

気にしすぎなくて大丈夫です。認知症の方や体調が変わりやすい方は、途中退出・声を出す・うとうとするといった反応を示すのが自然です。施設職員と「途中退出は想定内」と事前に合わせておき、演奏者はそのまま演奏を続けるのが基本になります。退室の判断は職員にお任せします。「全員に最後まで聴いてもらう」ことを目標にせず、「来てくれた方それぞれが楽しめる時間を作る」と考えると無理がありません。

Q.

施設に演奏ボランティアを断られたとき、気にすべきですか?

A.

気にしすぎる必要はありません。施設側にはレクリエーションの年間計画・職員の人員配置・他のボランティアとの兼ね合いなど、外部からは見えない事情があります。「今回は他の予定が入っており」「年度予算の都合で」といったお断りの言葉は、単純に日程調整の結果であることが多くあります。別の施設・別の時期に再度ご相談されるか、自治体のボランティアセンターを通じて受け入れ可能な施設を紹介してもらう方法も選べます。

恵良 響

この記事の監修者

恵良 響えら ひびき

4歳からピアノを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業後、渡仏。パリ地方音楽院を経て、現在パリ国立高等音楽院(Conservatoire national supérieur de musique et de danse de Paris)第一課程在籍中。

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